4D v14

ストアドプロシージャ

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ストアドプロシージャーという表現は、SQLベースのサーバーの世界に由来しています。クライアントワークステーションがSQLベースのサーバーに要求を送信する時、実際にはSQLサーバーに対してSQL言語で記述されたテキストを送信します。この要求は、実行される前にSQLサーバー上で解釈されます。要求のソースコードのサイズが大きく、1回のセッション中に要求が何度も送信される場合には、送られる要求の回数が多いほど、ネットワーク経由でソースコードを送信、解析し、解釈する時間が長くなることは明らかです。

そこでネットワーク経由で要求を送信し、解析および解釈を一度だけ行い、クライアントワークステーションから受信するたびにこれを実行する方法を探しました。この解決方法は、要求のソースコード (つまりプロシージャー) をサーバー側に保存し、クライアントワークステーションには実行するプロシージャーの名前だけで構成される要求を送らせることでした。結果的に、このプロシージャーはサーバー上にストアされるため、"ストアドプロシージャー"という用語になっています。

SQLベースのストアドプロシージャーは、クライアントワークステーションから引数を受信し、実現するタスクを (同期的または非同期的に) 実行し、最終的に結果をクライアントワークステーションに戻すことができるプロシージャーであるということに注意してください。クライアントワークステーションがストアドプロシージャーの実行を開始すると、ある程度サーバーマシンにコードの実行を任せます。

4D Server では、業界で通用しているストアドプロシージャーという名称を使用していますが、4D Server のストアドプロシージャーの機能は、通常のストアドプロシージャーの概念をはるかに超えています。

ローカルモードの4DでNew processのようなコマンドを使用すると、メソッドを実行できるユーザープロセスを開始することができます。このメソッドはプロセスメソッドと呼ばれています (4D Language Referenceマニュアルのプロジェクトメソッド参照)。

4D Server上でもクライアントマシンと同様の操作が可能です。さらにExecute on serverコマンドを使用すると、4D Serverマシン上でメソッドを実行できるユーザープロセスを開始できます。EXECUTE ON CLIENTを使用すれば異なるクライアント上の他のプロセスでメソッドを実行できます。
両ケースでこのメソッドはストアドプロシージャーと呼ばれ、(用語の濫用になりますが) サーバーマシンやクライアント上で開始されたプロセスもストアドプロシージャーと呼ばれます。

重要: SQL ベースのストアドプロシージャーと4D Server のストアドプロシージャーの本質的な違いは、SQL ベースのストアドプロシージャーではSQL プロシージャーを実行し、4D Server のストアドプロシージャーではスタンドアロン4Dプロセスを実行するという点にあります。

通常のプロセスと同様に、ストアドプロシージャーには次のような独自の環境があります

  • テーブルごとのカレントセレクション: 各ストアドプロシージャーには、個別のカレントセレクションがあります。1 つのテーブルは、別々のストアドプロシージャーで異なるカレントセレクションを持つことができます。
  • テーブルごとのカレントレコード: 各テーブルは、ストアドプロシージャーごとに異なるカレントレコードを持つことができます。
  • 変数: 各ストアドプロシージャには独自のプロセス変数があります。プロセス変数は、その変数が設定されたストアドプロシージャの範囲内でのみ認識されます。
  • デフォルトテーブル: 各ストアドプロシージャーには、独自のデフォルトテーブルがあります。
  • プロセスセット: 各ストアドプロシージャーには、独自のプロセスセットがあります。
  • エラー処理: 各ストアドプロシージャーには、独自のエラー処理メソッドを持てます。
  • デバッガウィンドウ: 各ストアドプロシージャーは、独自のデバッガーウィンドウを持てます。

ユーザーインターフェースの点では、ストアドプロシージャーは、ウィンドウを開き、データを表示する (例えばDISPLAY RECORDを使用) ことができます。
4Dクライアントマシン上で実行されるストアドプロシージャーではデータ入力ができます。
一方、サーバー上で実行されるストアドプロシージャーではデータ入力を開始する (例えばADD RECORDを使用) ことはできません。これは、サーバーマシン上にデータ入力カーネルがないためです。

ストアドプロシージャーは、システム (ハードウェアおよびメモリ) が許す限りいくつでも開始することができます。事実、4D Server マシンは、4DクライアントおよびWeb ブラウザーに応答するマシンであるだけではなく、サーバーマシンおよびリモート4Dマシン上で実行中の他のプロセスと対話するプロセスを実行するマシンである、という見方をする必要があります。

4Dがマシン上で実行されるユーザープロセスのマルチタスク環境を提供するのと同じ方法で、4D Serverはストアドプロシージャーに対してマルチタスク環境を提供します。たとえば、4D Server はプロセス間通信用にストアドプロシージャーで使用できるインタープロセス変数テーブルを管理しています。

: "サーバー上で実行"メソッド属性を使用して、サーバー上のプロセスでメソッドを実行することもできます。ただしこの場合メソッドは、クライアントプロセスに対応するサーバー上のクライアントプロセスで実行されます。つまりクライアントプロセスの環境を使用できます。この場合、これは4Dのストアドプロシージャーではありません。詳細はサーバー上で実行属性を参照してください。

データ入力を除き、4D Language Referenceマニュアルで説明されている、ほとんどすべてのプロセスおよびコマンドの機能は、ストアドプロシージャーにも適用されます。

ストアドプロシージャーではレコードの追加、検索、並べ替え、更新、削除が可能です。ストアドプロシージャーではセットや命名セレクションの使用、ディスク上のドキュメントファイルへのアクセス、BLOB を使用した作業、レコードの印刷等が行えます。ローカルの4Dマシン上で作業を行う代わりに、サーバーマシン上や他の4Dクライアントマシン上で実行していると考えてください。

ストアドプロシージャーの明らかな利点は、データベースエンジンがあるサーバーマシン上でローカルに実行されるということです。例えば、ネットワーク経由でAPPLY TO SELECTIONを行うと効率的ではありませんが、ストアドプロシージャー内では効率良く実行されます。SPベースの読み込み (例題)に示された例では、“スマート”なストアドプロシージャーを使用して、大幅なパフォーマンスの最適化を実現しています。

クライアントマシン上で実行されるストアドプロシージャーを使用すれば、タスクの分割やクライアントマシン間の通信を最適化できます。複数のマシンでストアドプロシージャーを実行する例題は、4D Language Reference内のREGISTER CLIENTを参照してください。

しかし、ストアドプロシージャアーキテクチャーの最も重要な利点は、4D Server に追加の世界をもたらすところです。ストアドプロシージャーを利用すると、独自の4D Serverサービスを実現することができます。これを制限するのは想像力だけです。SPベースのサービス (例題)の例では、4D Server またはサーバーマシンについての情報をクライアントに提供するストアドプロシージャーを示しています。例えば、サーバーマシンのボリュームを一覧表示することが可能です。この例は、ディレクトリ情報やドキュメント情報をクライアントに返すように簡単に拡張することができます。

一般に言って、サーバー上で実行されるストアドプロシージャーはインターフェース (メニューやウィンドウ、フォームなど) を扱うべきではありません。実際インターフェースはサーバー上では管理されません。
サーバーマシン上でダイアログボックスを表示するコマンドやデータ入力のためにダイアログボックスを表示するようなコマンドは避けるべきです。

以下はサーバー上で実行されるストアドプロシージャー内で使用すべきでないコマンドのリストです。コマンドは3つにグループ化されます:

  • サーバー上で禁止されるコマンド
以下のコマンドの1つををストアドプロシージャー内で使用したら、4D Server 上で使ってはいけないというアラートが表示されます。エラーは#67 が返ります。ON ERR CALLコマンドでインストールされたメソッドを通し、受け取ることができます。

ACCUMULATE
ADD RECORD
ADD SUBRECORD
APPEND MENU ITEM
BREAK LEVEL
CALL PROCESS
CHANGE LICENSES
Count menu items
Count menus
DELETE MENU ITEM
DISABLE MENU ITEM
DISPLAY SELECTION
EDIT ACCESS
ENABLE MENU ITEM
FILTER EVENT
Get menu item
Get menu item key
Get menu item mark
Get menu item style
Get menu title
SET PICTURE TO LIBRARY
_o_GRAPH TABLE
INSERT MENU ITEM
Level
Menu selected
MODIFY RECORD
MODIFY SELECTION
MODIFY SUBRECORD
ON EVENT CALL
Open external window
PAGE BREAK
PAGE SETUP
PRINT SETTINGS
QUERY BY EXAMPLE
QR REPORT
Printing page
REMOVE PICTURE FROM LIBRARY
SET MENU ITEM
SET MENU ITEM SHORTCUT
SET MENU ITEM MARK
SET MENU ITEM STYLE
SET PICTURE TO LIBRARY
SHOW MENU BAR
Subtotal

  • サーバー上で使用すべきでないコマンド
ストアドプロシージャーの中で下記のコマンドを使用しないことを強くお勧めします。これらはサーバーをブロックすることができ、エラーが生じるかもしれません。そしてどのような場合でも正しく実行できません。特別なエラーコードはありません。

ACCEPT
Activated
ADD DATA SEGMENT
After
APPEND DATA TO PASTEBOARD
APPEND TO LIST
Before
BLOB TO DOCUMENT
BLOB to list
BRING TO FRONT
C_GRAPH
CANCEL
CHANGE CURRENT USER
CHANGE PASSWORD
CLEAR LIST
CLEAR PASTEBOARD
Copy list
Count list items
Count screens
Create document(1)
Create resource file(1)
Current form table
Current user
Deactivated
DELETE FROM LIST
DELETE USER
DIALOG
DISABLE BUTTON
DRAG AND DROP PROPERTIES
DRAG WINDOW
Drop position
During
ENABLE BUTTON
ERASE WINDOW
EXPORT DATA(1)
FILTER KEYSTROKE
Find window
Focus object
FONT LIST
Font name
Font number
Form event
FORM FIRST PAGE
FORM Get current page
FORM GET PROPERTIES
FORM GOTO PAGE
FORM LAST PAGE
FORM NEXT PAGE
FORM PREVIOUS PAGE
FORM SET INPUT
FORM SET OUTPUT
Frontmost process
Frontmost window
Get edited text
GET GROUP LIST
GET GROUP PROPERTIES
GET HIGHLIGHT
GET LIST ITEM
GET LIST ITEM PROPERTIES
GET LIST PROPERTIES
GET MOUSE
GET PASTEBOARD DATA
GET PICTURE FROM PASTEBOARD
Get text from pasteboard
GET USER LIST
GET USER PROPERTIES
GET WINDOW RECT
Get window title
GOTO OBJECT
GRAPH SETTINGS
HIDE PROCESS
HIDE TOOL BAR
HIDE WINDOW
HIGHLIGHT RECORDS
HIGHLIGHT TEXT
IMPORT DATA(1)
In break
In footer
In header
INSERT IN LIST
INVERT BACKGROUND
Is a list
Is user deleted
Keystroke
List item parent
List item position
LIST TO BLOB
Load list
MAXIMIZE WINDOW
Menu bar height
Menu bar screen
MINIMIZE WINDOW
Modified
New list
Next window
OBJECT GET COORDINATES
OBJECT MOVE
OBJECT SET LIST BY NAME
OBJECT SET COLOR
OBJECT SET ENTERABLE
OBJECT SET FILTER
OBJECT SET FORMAT
OBJECT SET RGB COLORS
OBJECT SET TITLE
OBJECT SET VISIBLE
Old
Open document(1)
Open resource file(1)
ORDER BY(2)
Outside call
Pasteboard data size
Pop up menu
POST CLICK
POST EVENT
POST KEY
QUERY BY FORMULA(2)
QUERY(2)
REDRAW
REDRAW LIST
REDRAW WINDOW
REGISTER CLIENT
REJECT
SAVE LIST
SCREEN COORDINATES
SCREEN DEPTH
Screen height
Screen width
Select folder
SELECT LIST ITEMS BY POSITION
SELECT LIST ITEMS BY REFERENCE
SELECT LOG FILE
Selected list items
Self
SET CURSOR
SET FIELD TITLES
Set group properties
SET LIST ITEM
SET LIST ITEM PROPERTIES
SET LIST PROPERTIES
SET PICTURE TO PASTEBOARD
SET SCREEN DEPTH
SET TABLE TITLES
SET TEXT TO PASTEBOARD
SET TIMER
Set user properties
SET WINDOW RECT
Shift down
SHOW PROCESS
SHOW WINDOW
SORT LIST
User in group
Validate password
Window kind
WINDOW LIST
Window process

(1) 第一引数が空の文字列の場合のみ
(2) シンタックスの結果がダイアログを表示する場合のみ (例: ORDER BY([Table]))

  • サーバー上で効果がないコマンド
以下のコマンドはサーバー上のストアドプロシージャーで呼び出された場合、効果がありません。特定のエラーコードは返されません。

GRAPH
MESSAGES OFF
MESSAGES ON
SET MENU BAR
SHOW TOOL BAR

  • 4Dからメソッド実行ダイアログボックスを使用して、手動でストアドプロシージャーを開始できます:

ここからメソッドを4D Serverまたは他の4Dクライアントマシン上で実行できます。このリストに4Dクライアントマシンを表示させるためには、まずそのマシンが登録されていなければならないことに留意してください (クライアントマシン上でのストアドプロシージャREGISTER CLIENTコマンドを参照)。

注: リモート4Dからサーバのストアドプロシージャに、DELAY PROCESSPAUSE PROCESSそしてRESUME PROCESSなどのプロセス管理コマンドを使用することはできません。

  • 4D Server上で実行されているメソッド (サーバデータベースメソッド、サーバ上で実行属性付きのメソッド、またはストアドプロシージャ) はExecute on serverNew process、またはEXECUTE ON CLIENTを使用してストアドプロシージャを開始できます。

ストアドプロシージャー間の通信には、次の方法を使用します:

4D Language Referenceマニュアルで、関連する箇所を参照してください。4Dコマンドは、クライアントマシンのスコープ内で動作する場合と同様に、ストアドプ ロシージャーを実行するサーバーまたはクライアントマシンのスコープ内で動作することに注意してください。

: CALL PROCESSおよびOutside callメカニズムは、サーバーマシン上では意味がありません。ストアドプロシージャーには、データ入力のためのユーザーインタフェースがないためです。

さらにもう1 つ重要な機能があります。クライアントユーザープロセス (クライアントマシンで実行されるプロセス) は、GET PROCESS VARIABLESET PROCESS VARIABLEVARIABLE TO VARIABLEコマンドを使用して、ストアドプロシージャーのプロセス変数 (*) を読み込んだり、書き込むことができます

(*) サーバーマシンのインタープロセス変数も同様

重要: GET PROCESS VARIABLESET PROCESS VARIABLEVARIABLE TO VARIABLEコマンドを使用して行う“マシン間”のプロセス通信は、クライアントからサーバーに対してのみ可能です。ストアドプロシージャーの変数を読み込んだり、書き込んだりするのは常にクライアントのプロセスです。

 
プロパティ 

プロダクト: 4D
テーマ: 4D Serverと4Dランゲージ

 
参照 

SPベースのサービス (例題)
SPベースの読み込み (例題)

 
ARTICLE USAGE

4D Server ( 4D v13)
4D Server ( 4D v14 R2)
4D Server ( 4D v14)
4D Server ( 4D v14 R3)
4D Server ( 4D Server v14 R4)

Inherited from : ストアドプロシージャ ( 4D Server v12)